結婚して時間が経つと、おたがいが安全基地になっていき、
そのなかでぬくぬくと安心して暮らすことができるようになります。
、、、なることがあります。
そのぬくぬくを、
はじめの頃なら何ものにも代えがたい心地よさとして感じていたはずなのに、
いつしかそのぬくぬくの体温高めがふつうとなり、それに「なれ」ていきます。
「なれる」ということは、人が生きていくうえでとても大切なことで、
「なれる」ことで、毎日の生活をスムーズに過ごすことができるようになります。
恋に落ちた頃のようにドーパミン大放出のギラついたままでは、
日常生活を送ることはやっと、となりますからね。
仕事や家のこと、社会とのつながり、
それに子どもが生まれたりしたら、ギラつき以外のことに
エネルギーも時間も振りわけなくてはいけません。
そうやって人は「なれ」という脳の合理的な資源節約モードに入り、
ふたりの関係も「なれ」て安定した平常モードに切り替わっていきます。
ただ、この「なれ」は心地よい反面、
ひと皮ペロッとめくると、人から新鮮なよろこびの気持ちをうばい、
ごうまんな気持ちを助長させるという厄介な面が顔をだしてくることがあります。
あれやこれやをやってもらって「あたりまえ」。というふうです。
そして、「あたりまえ」なんだから、ありがとうということも、
感謝を態度で示すこともケチらせてしまうという、
関係性をむしばみかねない、あゝ無情なこともおきてきます。
それがさらにすすむと、本当にかつて恋に落ちた人なの?ってくらいに、
やさしさや思いやりのなさが、大手を振ってまかり通ったりすることにもなりかねません。
こうして、「なれる」のダークサイド、
飽きや物足りなさ、惰性、マンネリらがイキイキとあふれだしてきます。
ただ、この「なれる化」、
だれもがもっている性質なんだということを、
いまいちど心に留めたほうがいいと思っています。
人ってよきにつけ、あしきにつけ、「なれる」ものなのよねと。
「いいえ!わたしはいつまでもときめいていたい!あなたがいつまでもドキドキさせて!」
なんて、自分をかえりみずに相手に求めてばかりいる方もいますが、
でも、人間って「なれ」るもんなんだから、
「なれ」るがままに関係を放置することなく、
よい関係性をつくっていくためにはどうすればいいんだろうかと、
いったん、実際的な場所に降りてきて考えてみることをおすすめします。
この「なれる化」の恩恵を受けつつも、
関係性を腐敗ではなく、熟成の方向へとかえていくための秘策のひとつは、
見えやすいことでも、見えにくいことでも、
相手からしてもらっていることや、かつてしてもらったことに思いをはせることです。
こうすることで、感謝のきもちが呼びおこされます。
感謝は、「あたりまえ」というほこりで曇りがちな私たちの視界を、
ぬぐってくれるような力があります。
そして、「あたりまえ」は「あたりまえではない」ということに気づかせてくれます。
今年も残りわずかです。
今年、あなたがパートナーに感謝していることはなんですか?
今年にかぎらず、ずっとし続けてくれていることで感謝していることも
あるかもしれません。
その感謝のきもちを、あたたかい言葉でくるんで相手に伝えられることができたら、
関係性にいい影響をあたえることになると思いますよ。
もうひとつは、
「もし、このあたりまえがなくなったとしたら?」ということを考えてみることも、
関係性の腐敗防止の、強めのスパイスとなるかもしれません。
もっとテクノロジーが発達して、
いま「あたりまえ」のようにいる人がいない世界というものを、
感情ごと体感することができるようになったら、
もう少し切実に、じぶんの言動をかえりみれるのにな、セッションでも使えるのにな、と思っています。
その日が来るまでは、人がもつ最強の武器、想像力を駆使して、
「あたりまえ」にあるものがない世界を想い浮かべてみるしかありませんね。
実際に「あたりまえ」がなくなったときがきて、
ようやく「あたりまえ」のかけがえのなさがわかったなんていう、
うっかりなことに、ならないようにしたいものです。
今年もセッション、カレー粉「まったくあまくち」をご愛顧いただき、
どうもありがとうございます!
来年は、カップルでインド料理をつくりましょうというワークショップをやりたいな。
みなさま、どうぞよいお年をお迎えください!
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写真はエビとアボガドをオリーブオイルで炒め、spice+artsのカレー粉「まったくあまくち」と塩のみで味付けをしました。
spice+arts やましたのぶこ
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